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戯言
日々思う、絵についてとPCで描くという事に思う事。
久々に長文なので続きに。


続き。

絵についての戯言。

正面画。絵を描き始めた頃からの永遠の課題。バランスの取り方というのは難しく、上手い方はサラっと描けてしまうが、よく見れば多少の崩れはある。だが、それが正常であり機械的に左右対称に描ける事は稀であったりする。

この仕事をするようになって、どうしても気になって裏返してみたり逆さまに見たり、コピーの鏡像機能を使ってみたりと色々試行錯誤した。しかし、ある時友人(牧竜氏、ねw)の一言で意識が変わった。「崩れもその人の持つ個性だ」、「気にしていたらダメだ」と。25年も昔の事なのでソックリその通りの事を言われたのか自信はないが、そんな内容だったと思う。

その後、何人かの絵描きから同様の事を聞いた。確かに言われてみれば、そもそも人の顔なんて全くの左右対称ではない。描く人間だって利き手の関係で線を引く時の軌道、ライン取りは変わる。同じように手を動かしても左右全く同じ絵にはならない。デジカメ撮影で試してみると良い。完全な真正面の絵を撮ろうとしたら結構難しい。液晶にガイドを表示させ、しっかり固定しなければ無理だ。

20170219_082340.jpg
自分が描いた修正原画。
薄く色鉛筆で中心線を描いて水平と垂直のバランスを取っている。
もちろん、左右反転すれば崩れているのがわかる。
※サンプルとして載せただけなので問題があれば削除します。

テクニック的な物として数年前に見かけた物は、顔の半分を描き、その絵の真ん中で折り込む。そして裏からその絵を写して再び裏返し、なぞるのだ。これには感心した。これならば無駄紙を使わず崩れを抑えられ、機械的な反転とは違う物になってくれる。目からウロコとはこの事か。

補足として書いておく。鼻の位置は漫画絵において、顔の中心線の上には描いてはいけない。最近では多少その決まりから外れている作品もあるが。鼻の頂点、尖った部分に線を入れる、面取りをすると鼻孔の上の二本線となるのだが、その片方を略して描くと思えば良い。整形した顔には適用出来ないだろうけど。同様に決まりから外れたのが瞳。何時の頃からか円定規やコンパスで正円に描いている物も増えてきた。中には必ず円定規を使う事、と作画注意事項に明記されていた物もある(爆丸シリーズなど)。

アニメ業界、特に動画においては一部の会社作品(サンライズなど)を除き昔から定規禁止、という所が多かった。90年台を過ぎた辺りから流石に線量が増えたのでその決まりは崩れてしまったが。当時は仕上がりの綺麗、汚いに関係なくフリーハンドが普通だった。理由として「定規を使っていたら上手くなれない」、「定規を使っている時間がもったいない」という物だ。ドラえもんを例に取っても上手い人は正円に近い円をスルっと描いてしまう。それを描けない人が同じように挑めば円定規や自在定規でカバーするしかない。それは時間が掛かってしまう上に紙も定規で擦れて汚れてしまう。「1時間に何枚描けるか?」、それが死活問題となる動画マンにとっては道具といえど、それを使う事により逆に効率が落ちるのであれば使わなくなる。現在の中国動画がまさにそれで、時間がないので原画に定規が使われていても彼らはフリーハンドで描く。だから線が溶ける。


話は変わって、昨今のデジタル絵ではどうか?、と目を向けてみると明らかに反転コピペしただけの絵を多く見る。自分たち絵描きから見ればそれはただ手抜きでしかなく、時間節約どころか上達するための訓練、手間までも省いてしまっているように見える。デザイナーであるとか、それを仕事にしている人が短時間に大量に描かなければならないのであれば、それは問題ないだろうとは思う。それはただ商業物として消費される物だったり、素材、設計図でしかないからね。題材となる物も機械、ロボット的な物なら構わないが、人間の絵としてみるととても気持ちが悪い。上記で書いた鼻の位置もそうで、ど真ん中に描かれている。もちろん、下描き段階での左右反転コピペは良いだろうと思う。「描いてみたけどどうしてもダメなんだよな」という時に使うのが理想的だと思うし、それはOKだと思う。

個人的に思うのはPCという便利な物があり、それは活かしてこそだと思う。だが、それに頼り切っていては何時まで経っても上手くならない。PCでの作画は昔と違い一瞬紙に描いた物かと思うほど、かなりアナログ的な手法や表現も出来るようになってきた。それなのに設計や製図をするような手法で描いていくのは絵を描いているのとは少し違うような気がする。作画というより作業、なんだな。PCはあくまでも道具なのだから、使いこなすのも重要なんだが手抜きばかりしていてはダメだと思う。たくさん描いても、それはただツールの使い方に慣れてきただけであって、画力そのものが上がっているわけじゃない。上記の動画マンを別の例に挙げ、彼は完成度の高い動画を描いたとすると、彼は定規を器用に使えたから綺麗に仕上げられただけであって、その動画マンの画力が高いか?、とは別問題。PCで描いている人が増えているけれど、「僕はPCとこのソフトがないと描けません」というのは、それは絵描きじゃないと思うんだ。


・・・以上、結構考え方が偏って見えるかもしれないので戯言として書きましたw
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Comments
2017/02/19
from ゲストちゃん #LrsptixU URL
正面顔って何気に一番書くの難しいんじゃないのか?
と疑問に思う時があって、でもそれを問題として取り上げてる絵描きさん
はプロの人では全く見かけないんだよね。
自分のバランス感覚がおかしいのか?とか思ったりもしてたけど
やっぱり難しいですよね。
[ 編集/削除]
2017/02/19
from マーちゃん(うじゅら) #jYbOzkUY URL
ゲストちゃん、コメントありがとうございます。

プロが正面顔について取り上げるのは、各々がスタイルを確立してしまってあえて取り上げる機会が少ない、もしくは答えがないために避けてるのかも、という気もします。

書籍をたくさん確認したわけではないのですが、私が持っていた物でも確かに少ないようで、定番の参考書のルーミスのやさしい人物画、アニメーターだと湖川友謙氏の本位しか見かけませんでした。後は古い物だと手塚治虫氏の漫画の描き方、かな?

探せば、言及や解説している書籍はあると思うのですが、上で書いたように正確な答えという物がないので「違う、そうじゃない」と思う人も多いんじゃないか、「突っ込まれるの嫌だから触れない」と書かない人もいそう。

日本のアニメ、漫画絵というのは世界でも珍しい位にデフォルメが特殊、特に目の大きさはありえない物だとよく言われますね。頭蓋骨はどうなっているんだ?、とか。写実的な人間のデッサンとは違う、この独特の二次元化する段階での無理が難易度を引き上げてるのは事実かと思います。それと立体ではなく記号化されている、でしょうか。最近は再現率の高いフィギュアがあったりするんでこなれてきたのだと思いますが、正解というのはなく感覚だけだと思いますw

それと難しいのは横顔でしょうか。目の立体感と耳までの距離、後頭部のボリュームが少ない物が多く、自分もたまにやっちゃって指摘される事が多いですね。漫画原作付きのアニメだと、振り向く絵の時にはその辺の矛盾をメタモルフォーゼで誤魔化すしかないのですが・・・。
[ 編集/削除]
2017/02/20
from 野苺ロビン #EBUSheBA URL
アマチュアは、一つの作品に際限なく時間を掛けられる事が最大の武器なんですけどねぇ・・・
[ 編集/削除]
2017/02/20
from マーちゃん(うじゅら) #jYbOzkUY URL
野苺さん、コメントありです。
※長文、駄文コメントになってしまったので編集しました

そうですね、pixivで見ているとデジタルというのは手軽に着彩出来る分、色が着いた時点で満足してしまう人が多いのかもしれません。

数を描いて上手くなりたいのであれば、それこそ紙と鉛筆でじゅうぶんで、本文に書いたようにPCでたくさん描いても直接的には画力が向上しないとは言いませんが、操作が速くなるだけで伸びが遅いと思うのです。

[ 編集/削除]

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